THE WORLD IS NAKED

幻想を捨て いつもの眼 喧騒を抜け 感情を乗せる

2017-07

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ママゴトのなれの果て



どうで死ぬ身の一踊り/西村賢太』を読了する。


名古屋にしては広めな書店で何となく手にとってパラパラと頁を捲り、帯文を読んで
なにぶん半ばヤケクソ気味であったこともあり(どうしてだかは既に忘れた)、
他の何冊かと一緒に購入した。
その、他に買ったものから読み始めて行き、この本が最後に残ったのだか
理由はといえば気分じゃなかったというほか無く眠らせていただけで
そのヤケクソがまた首をもたげてきたからだけではないが一昨日にやっと手に取った。


今の自分は家でゆっくり本を読むことをあまりしなくなり、
もっぱら通勤電車のなかでのみの読書である。
活字中毒活字中毒と己を指して言う人も多いが、自分はただの本好き程度なのだろう。
読まないときはそれこそひらがなを忘れるほどに全く本を手にしなくなることも珍しくなく、
それでもいつも通りではないと落ち着かないからとの理由で鞄には本は入っているが
文庫の角が折れてへたれているのに気付かないほどそのままの事もある。
いっぱしの読書家ならその内容によって本を選び買うのが当然なのだろうが、
私の場合、初版と見れば持っているものでも買い、「美本函入り」という言葉に心躍らせる。
見知らぬ古書店があれば連れがいようがかまわず入っていきたがる、
真の本好き(そんなものがいればの話だが)からはたまらぬ邪道に見られても不思議ではない。

以前東京で神田を友人とうろついた時も、小沼丹の短編集(極美本函入り)を見つけて
帰りの新幹線の切符代の心配も頭から吹き飛んでしまい
気がついたら本を手にとって得意顔ということもあった。
そのときは何とか人の迷惑顔を見ずに帰ることが出来たが、
どうにも頼み込まなければこの後が続かぬということも無いといえば嘘になる。


そこでこの『どうで死ぬ身の一踊り』、作者の西村賢太の私小説となるのだが、
読みながらなんとも辛い。というよりも身につまされると言ったほうがいいか?
真冬の芝公園で狂凍死したひとりの作家にとりつかれてしまい(とりついた、の方が近い)、
彼の墓前に作家の全集を編纂、出版することを誓う、まさに「何んのそのどうで死ぬ身の一踊り」である。
まあ話はそれを主題に進む(進まない)のであるが、
それをいいわけにして色んな事をしでかすというか逃げるというか、
その辺の真の無頼さとでも言おうか愚者ぶりがなんとも辛いのである。
もうなんていうか自分の行く末を見させられているようで泣きたくなる。

いったいに我が強く、不快を感じるといい年をしてそれがすぐ顔にも声にも出る私の甘ったれた性癖は~(後略)

もうここなんて思わず本を閉じてしまったほどである。

一つ違うのは度々一緒に住む女に手を上げて挙句出て行かれるのであるが
その暴力である。
かと言って自分が博愛主義の善人だと言いたいわけではない。
暴力が嫌いなのである。怖いのだ。
「殴った手が痛い事もある」から殴らないのではなく、
「殴った手が痛いだろうから殴らない」のである。
誠に卑怯千番で小さい人間だと我ながら情けなくてどうにかしてやりたいがそれも怖いからしない。
プレッシャーからは出来るだけ遠くにいたくて縮こまっている人生だ。



長々と書いてしまって何を言いたいのかというと、
そんなたまらなく辛い本だがそれでも最後まで読ませるほど面白いということである。


  

コメント

この話、暴力の前後の優しい言葉遣いが怖かった記憶がありまする。


なんかね、どっちかというとカメラよりもそこから生まれる写真が好きな七さん
(あくまで私のイメージ)が、
物語というよりは本そのものにそそられるのが興味深いなあと
今回のエントリで思いました。

そして七さんの写真集見てると色んな考えが断続的にあふれてきて大変です。
本当にすごいなあ。

今日本を読んでて知ったのですがドイツのグーテンベルクが活字印刷を始めるまで人々は常に本を声に出して読んでいたのだそうです。つまり何が言いたいのかというと、本は偉大でありちゃちだと思います。

七くんが長い文章書いてる!!!ビックリ(・∀・)

書籍という体裁に萌えるのですねわかります。
函入りとかいいよね。
私はでも実質主義なので文庫が多いかな。あと図書館。
分厚い本で小さい文字で2段組とか嬉しくて仕方ない。
でも、昨日読み終えたのが『家族狩り』
今手をつけたのが『誘拐』
次待っているのが『シズコさん』(母娘の愛憎系かつ看取り系)。。。

なにか家族に不満でもあんのか?

心に鬱屈したものを持つ人間の本棚ですねごめんなさい。

●オヤマアキさん

うん、怖かった。
暴力を我慢しながらしゃべってるのは暴力と同じくらい怖い。

確かにボクはカメラはどーでもいーんですけどねー。
本は大事に大事に大事に大事にします。
帯も当然キレイに保存。

写真集、そがいに気に入ってくれてほんなこつウレシイばってん荒川でございます~!

●HAL'kiさん

しかし声に出して読むという行為は
脳に良い働きをもたらすとか何とか。
技術の発展は必ずしも良いとは限らないということか?

●ゆんたさん

書くヨ!!
でもまー読み直すといまいちだね。
長い文を書くのにも慣れとかないとなー
小説とか書けないよね!

一番扱いやすいのは間違いなく文庫ですね。
でも函、帯、月報付きとか、たたた たまらんですばい!
全集とかもうね。
三島由紀夫全集をちょびちょびと集めております。
ずっと欲しいのは梶井基次郎全集。あれは装丁も最高。

で、なにか鬱積してんの?(笑)

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